★リフォームの基本
1、第一印象を良くする
リフォームを考える上でのポイントです。それは、「第一印象よくする」 です。
以前、賃貸専門の不動産で営業をしていた経験から言いますと、一つの部屋を案内し、室内にいる時間はほんの数分です。平均すると5分ぐらいではないでしょうか。
たまに、30分ぐらい「あーでもない」「こーでもない」と室内で話込むことはありますが、まれです。
ほとんどの入居者さんの内覧時間は5分だと考えてください。その5分の間に入居するかどうかを判断します。
そして、同時に案内する件数は2・3件です。営業マンはたくさんの物件を案内しません。たくさん見せすぎるとお客さんが悩み決断が出来なくなるからです。
この2・3件の物件を比較させて、その日に入居申し込みをもらうために営業マンは必死になります。ゆっくり考える時間を、賃貸の営業マンはお客さんに与えません。その日に申込みまで持っていく即決営業が基本です。
だらだらと時間や日にちをかける営業マンは「できる営業マン」ではありません。限りなくある賃貸物件をじっくり探されてはいつまで経っても希望物件が決まることはありませんし、お客さんを他の賃貸業者さんに取られてしまいます。
仕事のできる営業ほど、その日に入居申し込みまで書かせ契約予定まで話を詰めます。
この賃貸の営業現場を考えれば、第一印象の大切が理解していただけると思います。このことを、頭に入れてリフォーム内容を考える必要があります。
2、ターゲットとなる入居者を決める
リフォームを考える上で、もうひとつ考えなければいけないのは、入居してもらうターゲット層のどこを狙うのかを明確に理解する必要があります。
ワンルームひとつをとっても、学生なのか、サラリーマンなのか、女性なのかのターゲットを明確にした方が無駄のないリフォームができます。
たとえば、古い物件でしかも狭く家賃も安いぼろアパートに最新式のカラーテレビドアホンは違和感があります。入居する人もあれば便利でしょうが、なくても平気な人が入居しますので、無駄なお金だといえます。
部屋全体のカラーイメージも大切です。クロスの色合い、床の柄や色なども全体のバランスやイメージを入居してもらうターゲットにより、変える必要があります。
ターゲットは出来るだけ広げ、万人にうけるリフォームの方が入居者も決まりやすくなります。
3、家賃設定などの条件を決める
リフォームを考えるにあたり、家賃設定などの条件をある程度決めておきしょう。先のターゲットを決めるとも重なりますが、家賃の設定金額により、入居者のターゲット、所得のレベルが変わります。
たとえば、単身で月3万円の部屋に住む人と、月10万円の部屋に住む人では生活レベルがかなり違い、収入もそれに比例します。
20u以下のワンルームだと差がつけずらいですが、ある程度の広さのある不動産、部屋であればリフォーム力が問われます。
家賃はただ単に、相場で募集するのではなく、もう一歩先の、「できるだけ早く、高く貸すため」を意識できれば、大家さんとして上級者です。
4、最低限度必要なリフォーム
入居してもらうための最低限度のリフォームとは、クロスの張替え、床の張替え、ハウスクリーニング、故障・老朽化した設備の交換など生活するために必要不可欠なリフォームのことです。
大家さんにとっては入居していただくための当たり前のリフォーム内容です。
汚くよごれたクロスのまま放置している大家さんをたまに見かけますが、入居者が決まってからリフォームするのではなく、空き家になったらすぐにリフォームするようにしましょう。入居率が全然違います。
入居者さんは家賃を支払ってくれる大切なお客様です。長く住んでいただくためにもきちんと故障・老朽化した設備の交換はしましょう。
クロス、床、ハウスクリーニング等も清潔な部屋に気持ちよく入居していただくためにも必ず必要な最低限度のリフォームです。
この費用をケチってはいけません。
5、入居率UPのリフォーム
お金をかけずに、部屋の雰囲気を良くするために、私がよく行うリフォームはプロの業者に任せるリフォームだけではなく、自分自身でできるDIY、日曜大工も取り入れましょう。
自分で簡単に交換できる 「コンセントの交換」 「お風呂のシャワーホース」 「水道蛇口のハンドル交換」 などを積極的にリフォームすれば、部屋全体の第一印象が変わり入居率UPが望めます。
キッチンやお風呂などの水周りを新品に交換できる資金力があればいいのですが、大がかりなリフォームには多額のお金が必要になります。費用対効果も考えれば老朽化や故障がない限り、資金の限界があるサラリーマン大家さんは多額のお金をかけるのは避けましょう。
少ないお金で入居率を上げるためには、自分自身でできるリフォームを活用しましょう。
水回りの部品交換やコンセントをきれいなものに交換するだけで、部屋の案内時の 「ぱっ」 と見た時の、第一印象はかなり良くなります。ホームセンターで部品や工具を購入し、取り換えを行えば数千円程度しかかからないリフォームです。そのわずかな工夫により入居率が大幅に改善できます。ぜひ試してください。
大家さんになるまで、日曜大工などしたことがなかった不器用な私でも、できる簡単なリフォームで、しかも費用対効果抜群で、入居率UPの期待できるリフォーム内容です。
仮に効果がなかった場合でも、たかだか数千円です。なにもしないよりは、いいと思います。
6、家賃UPのリフォーム
こちらは、少し上級者向けのリフォーム内容になります。的確なニーズの把握が絶対条件になりますので、新米大家さんにとっては少し難しい内容かもしれません。
ただきちんと入居者のニーズを把握できれ、大家さんとして経験を積んでいけば、そんなに難しくはないと思います。
家賃UPのリフォームとは、具体的に言えば、古い2DKのアパートの間取りを今風のおしゃれな1LDKタイプにリフォームしたり、
3点ユニットバス(トイレ、フロ、洗面台が一体のもの)のワンルームを、トイレお風呂をセパレートタイプの間取りにリフォームしたりなど、少し大規模なリフォーム内容になります。
費用をかける分、費用対効果が見込めなければ、お金のムダ使いになりますので、的確なニーズを把握することが必要です。単身者需要の少ない地域に、2DK⇒1LDKにリフォームしても、あまり効果がない可能性があります。
やはり、綿密な市場調査とプロのアドバイスなどの意見も必要です。
市場調査といってもそんなに難しくありません。自分が所有している不動産の地域が、「単身者需要があるのか」 「ファミリー向きなのか」 「学生需要の地域なのか」 「サラリーマ需要の地域なのか」 などの特性を近くの賃貸の管理や客付けをしている不動産屋さんに聞くだけです。
ファミリーが多い地域に 2DK⇒1LDKにするよりそのままのほうがいいですし、単身者の需要が見込めるなら 2DK⇒1LDKにリフォームし、高収入の単身者向けにリフォームすれば家賃がUPできる可能性が高くなります。
地域特性にあったリフォームが家賃UPのこつです。
約2年間も空き家で放置された競売不動産だったので、すごい荒れようでした。しかしリフォームをすれば、これだけ見違えるほど変わります。リフォーム前の面影、痕跡すらなくきれいにリフォームが仕上がりました。 |
リフォーム箇所 |
単価 |
数量 |
単位 |
金額 |
小計 |
クロス |
和室 |
壁 |
620 |
41 |
u |
25,420 |
\89,280 |
天井 |
19 |
11,780 |
DK |
壁 |
47 |
29,140 |
天井 |
16 |
9,920 |
洗面所 |
壁 |
15 |
9,300 |
天井 |
6 |
3,720 |
CF
クッション
フロア |
玄関 |
1,575 |
2.1 |
u |
3,308 |
\42,053 |
DK |
19.8 |
31,185 |
洗面所 |
4.8 |
7,560 |
畳の新調 |
和室2室 |
6,825 |
10.5 |
帖 |
71,663 |
\71,663 |
ふすま |
取合い |
3,150 |
2 |
枚 |
6,300 |
\16,800 |
押入れ |
2,100 |
4 |
8,400 |
天袋 |
1,050 |
2 |
2,100 |
天井パテ処理 |
一式 |
31,500 |
\31,500 |
合計 |
¥251,295 |
値引き |
-11,295 |
支払い金額 |
¥240,000 |
|
・設備工事 |
・ホームセンターにて自分でリフォーム |
リフォーム箇所 |
数量 |
金額 |
洗面化粧台 |
1 |
34,440 |
トイレ一式 |
1 |
39,564 |
レンジフード |
1 |
21,714 |
撤去、処分費 |
一式 |
10,500 |
施工費 |
一式 |
44,415 |
電気温水器 |
1 |
30,740 |
カラス交換 |
1 |
28,000 |
合計 |
¥209,373 |
値引き |
¥633 |
支払い金額 |
¥208,740 |
|
リフォーム箇所 |
数量 |
金額 |
コンセント、スイッチ類 |
一式 |
5,360 |
キッチンライト |
一式 |
4,639 |
蛇口、シャワー、付属品 |
一式 |
7,527 |
網戸 |
一式 |
1,200 |
インターホン |
1 |
840 |
カーテンレール、蝶番 |
一式 |
4,378 |
湯沸器 |
1 |
9,980 |
その他雑費 |
一式 |
6,832 |
合計 |
¥40,756 |
|
リフォーム合計 ¥489,496
競売にて2年間も空き家で放置されて物件だったため、人に貸せる必要最低限度のリフォームにするだけでかなりの金額がかかりました。
ただクロスや床をきれいにするだけではなく、コンセントやスイッチ類をホームセンターで購入し自分で取り付けるなど、リフォーム費用を抑え、細部までこだわったリフォームを心がけました。自分でできることは自分でリフォームし、費用負担をできるだけ少なくするように工夫をしております。
ここからが最重要ポイントですが、何のためのリフォームかを明確にすることが一番重要です。
以前は私は賃貸不動産の営業をしていましたので、現場のことをよく知っています。入居者さんがどのようなプロセスで部屋を決めるかを見てきました。その経験をお話させて頂くと、実際の賃貸不動産の現場では、お客さんを案内するときは、条件などを聞き取り、3件前後の物件まで、しぼりこみ案内に出かけます。
そのときに、いち物件につきだいたいの内覧時間は5〜10分ぐらいです。たったのこれだけです。そんなに細部までチェックするお客さんは稀です。そうです、ほとんどの入居者は第一印象で決めているのです。
大家さんとして、安定した満室経営をしたいのであれば、特に第一印象のよい部屋、リフォームを心がける必要があります。
それともうひとつ大切なことは、長く住んでもらうことです。そうすることにより安定した収益が確保できます。ただ見た目をきれいにするリフォームだけではなく、生活動線や設備交換などを考え、住みやすいリフォームを心がけましょう。
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